Q.次の解熱鎮痛薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか?
1 | ( a . c ) | 2 | ( c . d ) | 3 | ( b . c ) | 4 | ( b . d ) |
《解説》
痛みや発熱は体内でプロスタグランジンという物質が生産されることによっておこります。
解熱鎮痛薬はこのプロスタグランジンの合成を阻害することで消炎鎮痛作用をあらわします。
解熱鎮痛薬で特に覚えておかなければならない成分は下記の成分です。
サリチル酸系 |
アスピリン(アセチルサリチル酸) |
サザピリン |
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エテンザミド |
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サリチルアミド |
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アセトアミノフェン |
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イブプロフェン |
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ピリン系 |
イソプロピルアンチピリン |
各成分の特徴をまとめて覚えましょう。
鎮痛薬の成分では最も出題される頻度の高い成分です。
上記例題のように、アスピリンの名称に「ピリン」と付いていることから、「ピリン系の解熱鎮痛成分である」という正誤問題がよく出題されますが、アスピリンはピリン系の薬ではなく、別名のように「サリチル酸系」の解熱鎮痛薬です。
また、サリチル酸系の成分は、ステロイドではないが炎症を抑える作用があり、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれています。
ただし、非ステロイド系抗炎症成分は胃腸障害を起こしやすくなるため、空腹時を避けるか、多めの水で服用する必要があります。
アスピリンについて覚えておきたいことは下記の通りです。
サザピリンもアスピリン同様サリチル酸系の薬ですが、出題頻度は低いです。
ただし、サザピリンも名称中に「ピリン」とつくので、「ピリン系薬である」として出題されるかもしれません。
留意点はアスピリンと同様です。
鎮痛効果が高く、副作用もアスピリンなどに比べて少ないことから一般用医薬品ではよく使用さえる成分で、アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの組み合わせは、それぞれの頭文字をとって「ACE処方(エース処方)」と呼ばれています。
アスピリン、サザピリンが「小児に使用しないこと」となっている一方、エテンザミドは「15歳未満の小児で水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっているときは使用を避ける」と小児にも使用できる点を問われる可能性がありますので覚えておきましょう。
留意点はエテンザミドと同様です。
アセトアミノフェンは非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)ではないため、抗炎症作用は期待できませんが、反面、胃腸障害など副作用の少なく比較的安全で、幼児にもよく使用される成分です。
ただし、アセトアミノフェンをアルコールと一緒に服用すると重い肝機能障害を起こす可能性があることが知られています。
イブプロフェンは、医療用で医師による処方が必要で、医療機関を受診しなければ手に入らなかった薬が、大衆薬として薬局や薬店で買えるようになったスイッチOTC薬です。
解熱・鎮痛・抗炎症作用はアスピリンの10倍以上といわれています。
イソプロピルアンチピリンは、一般用医薬品で唯一使用されているピリン系解熱鎮痛成分ということさえ覚えておけばよいとでしょう。
他のピリン系解熱鎮痛成分はショックなど重篤な副作用が頻発したため使用されなくなりました。
解熱鎮痛薬は胃腸障害の副作用が付きもので、ほとんどの解熱鎮痛薬は胃腸への負担を軽減するために「食後に服用すること」となっています。
これは解熱鎮痛薬が痛みを引き起こすプロスタグランジンの合成を阻害することと深く係わっています。
というのも、プロスタグランジンは痛みを引き起こす物質である反面、胃の粘膜を保護する役割もしているのです。
ですから、解熱鎮痛薬を服用してプロスタグランジンが合成されなくなると、胃粘膜防御機能が低下して、胃腸障害胃腸障害が発生するということです。