Q.一般用医薬品において、その成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩を含有する場合、添付文書の「してはいけないこと」の欄に、「次の診断を受けた人」として記載されなければならない疾患名として誤っているものを1つ選びなさい。
《解説》
プソイドエフェドリン塩酸塩の知識を問う問題です。
プソイドエフェドリン塩酸塩は、一般用医薬品として使用されるようになった経緯など特殊な成分ですので、出題される頻度の高い医薬品成分です。
プソイドエフェドリン塩酸塩がαアドレナリン作動薬であることと、交感神経が及ぼす各器官への作用を理解していればすぐ解ける問題です。
当設問は、『試験問題の作成に関する手引き』第5章別表からの出題です。
別表には医薬品成分とそれに関連する副作用についてぎっしりと細かく書いてあるので、見るだけでうんざりしてしまいそうですが、この別表からの出題もよく見られますので、主な成分からでも覚えるようにしましょう。
塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、米国において女性が食欲抑制剤として高用量を使用した場合に、出血性脳卒中の発症リスクとの関連性が高いの報告がなされ、米国医薬品食品庁(FDA)から米国内におけるPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請されました。
日本においても、2003年8月までにPPAが配合された一般用医薬品による脳出血等副作用症例が複数報告されたため、代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等への速やかな切り替えが指示されました。
プソイドエフェドリン塩酸塩は、鼻閉(鼻づまり)症状の緩和を目的として、鼻炎薬やかぜ薬に配合されている成分です。
鼻粘膜が充血して腫れていると、鼻の空気の通り道が狭まってしまいます。
ですので、鼻粘膜の充血や腫れを解消すれば、鼻閉を緩和することができます。
自律神経のうちの交感神経を興奮させると毛細血管が収縮して、充血や腫れを和らげることができますので、交感神経を興奮させることのできるアドレナリン作動薬のプソイドエフェドリン塩酸塩を使用しているのです。
ところが、アドレナリン作動薬で興奮させられた交感神経が作用するのは鼻だけではありません。
他の器官にも作用するため、それが副作用として現れてしまいます。
交感神経は自律神経のうち、活動するときや緊張している時に働く神経です。
心臓は血液をたくさん送り出すために心拍数があがりますので、心臓病の人は症状が悪化します。
血液をたくさん送り出すと血圧が上昇するので、高血圧の人は一層血圧が上昇します。
肝臓では、エネルギー源を作り出すためにグリコーゲンをブドウ糖に分解して血液中に送り出すため、血糖値が上昇するので糖尿病の症状が悪化します。
体の新陳代謝を活性化するホルモンを分泌する甲状腺は、機能が亢進して甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため、甲状腺機能亢進症の人は症状が悪化します。
このように、薬は自律神経に作用するものが非常に多いので、自律神経の働きについてはしっかり理解しましょう。
自律神経の働きを理解するためにはこちらの問題をご確認ください → 自律神経の働き
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4 × 胃は自律神経のうち副交感神経が働いているときに活発に活動し、消化液の分泌も盛んになります
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